梅雨の晴れ間で今日は絶好の観察日でした。植物は水を得て生き生きしており、野鳥はこの日ばかりと囀っていおり、昆虫は吸蜜していました。春の花から初夏の花への端境期でしょうか、サンショウバラ、ニシキウツギ、ヤマツツジは花びらを落とし始めていました。ヤマアジサイ、シモツケは今にも咲きそうでした。今日の一番の花はタンナサワフタギです。白い花が沢山咲いていました。金時山でこんなに咲いているのを見たのは初めてでした。甘い香りを誘われてトビイロカミキリ等の虫が吸蜜していました。鳥はミソサザイ、コルリ、ヤブサメが登山道脇で盛んに囀っていました。長い雨の後の久しぶりの縄張り宣言だったのでしょうか。
花、鳥、虫を生き生きと感じた観察会でした。
タンナサワフタギ (ハイノキ科)
乙女峠からの下りの登山道で谷筋川に見られました。落葉低木または小高木でよく枝分かれしている。この状態を沢をおおうようになるのでサワフタギとした。タンナは、発見地の済州島の古い呼び名。

トビイロカミキリ (カミキリムシ科)
タンナサワフタギにいました。箱根ではよく見るカミキリムシと言われていますが、箱根で始めて見ました。

ヤマツツジ (ツツジ科)
初夏の箱根の山を飾る代表的なツツジです。分岐点、金時山周辺の日照の強い尾根筋咲いていました。花びらは落ちており満開は過ぎ終わりに近づいていましたが、綺麗な色で沢山咲いていました。雌雄同株、両性花です。

ニガナ (キク科)
金時山から長尾山にかけての鞍部で沢山咲いていました。根生葉は長い柄、茎葉は柄がなく茎を抱くています。葉や茎に苦味のある白い乳液を含む為、苦菜(ニガナ)の名前があります。菜と付いているからには食べられるはずであるが、余り食べない。

コゴメウツギ (バラ科)
分岐点周辺で咲いていました。たくさんの小さな白い花をつけている木です。 蕾は、ちょうど米つぶのように見えます。小さな花はなかなかに繊細です。

シモツケ (バラ科)
金時山頂上周辺に沢山ありました。もうじき咲いて可憐なピンク色の花を見せるでしょう。名前の由来は下野(しもつけ)の国(現在の栃木県)で(染料用に)栽培していたことによる。

ヤマアジサイ (ユキノシタ科)
公時神社周辺にありました。もうじき咲きそうです。葉は長楕円形~卵状楕円形です。名前の由来は山に生えるアジサイ。

フタリシズカ (センリョウ科)
麓で咲いていました。名前の由来は花を静御前の亡霊二人の優美な舞姿にたとえたとか。

コウガイビル
金時山から長尾山に向かう登山道で見かけました。カタツムリに絡みついているように見えます。カタツムリを食べるようです。コウガイとは笄で昔女性がまげに挿して飾りにした櫛のこと。頭の形が笄に似ているのでこの名前が付いたようです。

林道の工事
仙石原から南足柄に向かう林道の工事が急ピッチで進んでいました。

本日のトップ10
1.タンナサワフタギ 満開
2.ヤマツツジ 花
3.ニガナ 花
4.コアジサイ 花
5.ニシキウツギ 花
6.ヤマアジサイ 花
7.シモツケ もうじき開花
8.ホトトギス 野鳥、囀り
9.コルリ 野鳥、囀り
10.ヤブサメ 野鳥、囀り
箱根PV 原田育生
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梅雨に入り、雨の降る日が続いていましたが、今日は中休みでしょうか、温度20℃と気持ちの良い天気です。ビジターさん8名、パークボランティア10名、合計18名のミニ観察会です。
本日のテーマは「植物の化学防衛」です。植物は化学成分を蓄積することで、虫や動物に食べられないようにしたり、カビや細菌から身を守っています。
ドクダミ ドクダミ科 ドクダミ属
虫刺れや蓄膿症など十種の薬効があるため「十薬」とも呼ばれ昔から民間薬としても使われてきました。デカノイルアセトアルデヒドという化学成分を含み強力な殺菌作用(防カビ作用)があります。

ホオノキ モクレン科 モクレン属
子供の広場方面への道路を渡ってすぐにあるホオノキは低いところに花が付いているので観察に最適です。開花して1日目に雌しべが熟し花粉を受け入れ、2日目に雌しべが閉じ雄しべが開き花粉を放出し、写真は3日目で雄しべがパラパラと散り始めています。

オオバウマノスズクサ ウマノスズクサ科 ウマノスズクサ属
オオバウマノスズクサの葉の裏にジャコウアゲハの卵を2個産み付けていました。幼虫になるとこの毒の葉を食べて毒を体内に蓄積します。天敵の鳥などに食べられないために化学防衛していると言われています。

花は管楽器のサクソフォンのような形の花を葉腋に1個付けます。今ちょうど花を見ることができます。

エゴノキ エゴノキ科 エゴノキ属
ビジターセンター周辺の多くの場所でエゴノキが見頃です。枝先に白い釣り鐘のような花を沢山付けています。花が落ちているのも多いですがまだまだたくさん見られます。

サルナシ マタタビ科 マタタビ属
自然学習路のサルナシにはたくさんの花が付いていました。可憐な白い花はとても美しいです。秋に実が付くのが楽しみです。

ノアザミ
白百合台園地ではノアザミの群生が見られます。アザミの仲間で春から初夏に花を付けるのはこのノアザミだけです。花から延び出ている雄しべを刺激してみてください。花粉がでてくるはずです。

ドロハマキチョッキリの揺籃
花の広場ではイタドリのドロハマキチョッキリの揺籃(オトシブミ)がたくさん観察できました。オトシブミの仲間は卵を産み付けた葉を丸め「ゆりかご」を作ります。

イタドリの葉を折り曲げて、カシルリオトシブミが揺籃を作っているのを見つけました。じっと観察していればオトシブミを作るのが見られると思います。

季節はあっという間に移り変わり、花や木の実・昆虫も日々様変わりしています。是非この時期しか見られない箱根の自然を存分に楽しんでください。
本日ののトップ10
1. オオバウマノスズクサ 花
2. ドクダミ 花
3. ノアザミ 花
4. サルナシ 花
5. コアジサイ 花
6. エゴノキ 花
7. クマシデ 実
8. イヌシデ 実
9. ドロハマキチョッキリ 虫、揺籃
10. キビタキ 野鳥
箱根PV 高橋
いつもの8期生3名での自然情報収集となりました。
箱根町港8時45分出発です。
6月だというのに気温11℃の寒さのためか、野鳥はあまり元気がありませんでしたが、
ガビチョウとソウシチョウは元気いっぱい。
3人で植物名を調べているときは、心のリモコンで音量を下げさせていただきました。
ソウシチョウはキブシの実を食べていました。

西岸コースではよく見かける野鳥です。
中国から持ち込まれた日本原産の鳥ではありません。
チメドリ科の特定外来生物ですので、飼育・運搬・別の場所への放鳥は禁止されています。
主な花としては、ユキノシタ、コゴメウツギ、ニシキウツギ(終わり気味)、ガマズミ、ドクダミ、ハンショウヅル、ホソバテンナンショウ、ムラサギゴケ、ケキツネノボタン、コアジサイ、ヤマウコギ、マユミ、ニガナ、ミミナグサ、サワフタギ、ヤマボウシ、ウワバミソウ、ナルコユリ、キショウブ、フランスギク、フタリシズカ、ミツバウツギ、ランヨウアオイ、サワギク、オオバウマノスズクサ(ジャコウアゲハの卵付き)、ナワシロイチゴ、ヤマトウバナ、ヤマツツジ、ハコネシロカネソウ、マルバウツギ、ツルアジサイ、コナスビ、ヨツバムグラ、サルナシ、フタバアオイ、ウツギ、ツルアジサイ・・・
天候のためか、花を閉じているものが多く、判別に時間を要しました。
西岸コースのメインである、ハコネシロカネソウはお休み中で残念でした。
元気いっぱいなのは、コアジサイ。
西岸コース全般に見られました。
ヤマアジサイはまだ蕾、クサアジサイはようやくお目覚めです。
昆虫は多種に及び・・・
ジャコウアゲハは高木のエゴノキに群れていたのが印象的でした。
オオバウマノスズクサに卵が今年はかなり多く見かけました。
切られないといいのですが・・・
あとはいつもは木にぶら下がっているような感じのノキシノブが、雨の影響か、葉が起き上がっていたことを発見。
画像は先端が丸いので、ヒメノキシノブになります。
因みに先っぽが尖っているものは普通のノキシノブです。

簡単な本持参で調べながら行きましたので、キャンプ村着は16時50分でした。
今回のお土産は、ウグイスの卵入りの落下巣でした。
自然落下物のお土産は西岸名物になりつつあります。


トップ10
① ジャコウアゲハ アゲハチョウ科・・・オオバウマノスズクサを食草として体内に毒を蓄え、鳥などに襲われないようにしています。


② モミジイチゴ バラ科・・・木イチゴとして子供の頃はよく食べていた方は多くいらっしゃると思います。

③ コアジサイ アジサイ科
2018年版県植物誌から従来のユキノシタ科から科が変更されました。

④ ニシキウツギ スイカズラ科・・・花の色が白から赤に変わり、花を落とします。


⑤ ユキノシタ ユキノシタ科

⑥ アオハムシダマシ

⑦ タンナサワフタギ ハイノキ科

⑧ ニホンベニコメツキ

⑨ ノイバラ バラ科

⑩ ヘビイチゴ バラ科・・・コース全般に果実が見られました。

箱根PV段
今回は花の端境期でしたが、蝶や小さな昆虫たちが沢山観察できました。仲間の一人にくわしく教えていただきました。コアジサイの花の時期かと思いましたがまだ蕾でした。テンナンショウの仲間もいろいろ見られました。今日は湯坂路を歩くグループに何組も出会いました。尾根道途中でヤマザクラの大木が倒れていました。
アオハムシダマシ (ゴミムシダマシ科アオハムシダマシ亜科)
青、緑、赤、紫に輝く虫で国内で玉虫の次に美しい甲虫と言われています。サンショウバラが好きで箱根ではよく見られるようです。

オククルマムグラ (アカネ科 ヤエムグラ属)
名前は葉が車状に見えるところからつけられました。丁度花盛りの群落に出会いました。この仲間のキクムグラも観察しました。

カモガヤ (イネ科 カモガヤ属) 別名:オーチャドグラス
出発地の足元にカモガヤが目立ちました。牧草として植えられたものが帰化して各地に広がったようです。カモガヤによる花粉症もあるようです。

マユミ (ニシキギ科 ニソキギ属)
落葉小高木。葉は対生し柄があります。昨年の枝の葉腋から集散花序の 淡緑白色の小さな花をつけます。材に弾力性があり弓に利用されました。

湯坂路入り口に新しくなった標識

ハナニガナ (キク科 ニガナ属)
ニガナやハナニガナが華やかに尾根道を彩っています。やや高地に見られるハナニガナです。舌状花が5~6枚のニガナより花弁が多く8~10枚ですが、混じり合って見られました。

ウマノアシガタ (キンポウゲ科 キンポウゲ属)
花の端境期の湯坂路では黄色の花や白い花が見立ちました。根生葉は長い柄があり3深裂ですが変化が多いです。花は光沢のある5弁です。

ハンショウヅル (キンポウゲ科 センニンソウ属)
木本性のつる植物。葉は1回3出複葉ですが椿に絡まりよく見られません。花は葉腋から長い花柄をだし紫褐色の鐘型です。湯坂路では数か所で見られます。

ツチアケビ (ラン科 ツチアケビ属)
今年も無事に見られました。次回には花が観察できそうで楽しみになります。樹林下に生える腐生植物。花は黄褐色で果実は赤色で下垂し肉質です。

タンナサワフタギ (ハイノキ科 ハイノキ属)
6~7年ぶりに満開の花に出会いました。白っぽい樹皮が目立つ落葉低木。花は6~7ミリ程で枝先に集ってつきます。枝が横に広がり沢をふさぐようだとつけられた名前。

ミノボロスゲ (カヤツリグサ科 スゲ属)
尾根道の踏まれるような場所にたくさん生えていました。叢生し花序は長さ3~5cmで小穂は雌雄性で5~8mm。箱根では多く見られます。

ハナイカダ (ハナイカダ科 ハナイカダ属)
雌雄異株のハナイカダの雌木に果実が見られました。落葉低木です。葉の真ん中に花がつくところから筏に見立ててつけらました。

イヌザクラ (バラ科 ウワミズザクラ属)
5月13日に蕾を確認していましたので残り花に出会えるかと期待していました。高い枝を少し下げてもらい観察できましたがすっかり花弁が落ち若い果実になっていました。

ヤマトウバナ (シソ科 トウバナ属)
木陰に生える多年草。草丈は10~20cm。茎にはちじれた毛があります。花は茎の上部に付き、上弁は浅く二裂し花弁は3裂して白色です。千条の滝近くにカントウミヤマカタバミの葉に紛れて咲いていました。

《本日のトップテン》
①アオハムシダマシ(昆虫)
②サンコウチョウ(野鳥、囀り)
③タンナサワフタギ(満開)
④ハナニガナ(満開)
⑤コアジサイ(花)
⑥ムラサキマムシグサ(花)
⑦ヤマツツジ(花)
⑧ハンショウヅル(花)
⑨ヤマトウバナ(花)
⑩ニシキウツギ(花)
箱根PV 山本
2019年06月08日(土)の仙石原コースの自然情報観察は、降雨予報により、事前中止となりました。
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