FC2ブログ

箱根の四季

箱根パークボランティアによる箱根の最新自然情報をお届けします

ミニ観察会(ビジターセンター周辺) 2018年11月9日

薄曇りで温度14℃、比較的暖かい秋の箱根でした。ビジターさん4名、パークボランティア7名、合計11名のミニ観察会です。
本日のテーマは「巣(網)を見ればクモの種類が分かる」、初めてのクモが主役の観察会です。

クモの「巣」と言いますが、餌を捕獲する「虫取り網」なので、正確には「網」です。クモそれぞれによって網の張り方が違います。

最初にヤエンオニグモが網を作っている途中の観察です。スプレーをかけて網を見えやすくしています。
IMG_1910.jpg

写真では網は見えませんが、ヤエンオニグモがすぐそばの葉の陰に隠れていました。これは枯葉ではなくクモです。
ヤエンオニグモ3

オオヒメグモです。歩いている虫を網で釣り上げ、牙で消化液を注入して、中の組織をドロドロにしそれを吸って食べます。
食べられた虫は殻だけが残ります。ダンゴムシも餌食になるようです。ちょっと怖い生存競争です。
オオヒメグモ

ヤマシロオニグモの網です。
最初にネバネバしない足場を作り、その後にネバネバした網を張ります。その時の作業に合わせてお尻から吐き出す糸を使い分けます。何とも高等な技を使うものです。
PA310038コヤマシロオニグモの網

ギンメッキゴミグモです。普通のクモは頭を下向きにしていて、餌を捕まえたら重力でサッと下へ降りて捕獲しますが、ギンメッキゴミグモは頭が上を向いています。頭が上のクモはこれだけです。
PA300010ギンメッキゴミグモ

ジョロウグモの網です。写真ではわかりにくいですが、網は円ではなく上に切れ目のある馬蹄型です。さらに前後に三重構造に張られています。
DSCN1341ジョウロウグモ網

ビジター周辺のカエデ類は紅葉が一気に進んでいます。駐車場側のイロハモミジも紅葉が始まっています。
イロハモミジ

同じ日の夕方に撮影したものですが、朝は緑色だったイロハモミジが夕日に照らされて、まるで紅葉が一気に進んだように見えていました。自然の不思議と素晴らしさを感じます。
イロハモミジ夕方

こちらは花の広場のオオモミジの紅葉です。
オオモミジ

同じく花の広場では、とても美しいケヤキの黄葉が見られます。
ケヤキ

マツムシソウは、ほとんどが果実になっていましたが、花もまだ残っていました。
マツムシソウ

本日のトップ10
1.  ギンメッキゴミグモ
2.  オオヒメグモ
3.  ゴミグモ
4.  ジョロウグモ
5.  ムラサキシキブ  果実
6.  アオツヅラフジ  果実
7.  マツムシソウ  花、果実
8.  ガマズミ  果実
9.  ウリハダカエデ  紅葉
10. イロハモミジ  紅葉

箱根PV 高橋
スポンサーサイト

ミニ観察会(ビジターセンター周辺)2018年10月26日

気温13℃薄曇りで少々肌寒い中、ビジター11名、パークボランティア13名でミニ観察会をスタートしました。観察テーマは、昨年12月に実施した「タネの不思議Ⅰ」の続編「タネの不思議Ⅱ」です。今日は動物や人にくっつき、ヒッチハイクする「ひっつきむし」といわれる付着散布の種子や花の広場で見られる植物の果実や種子の不思議さを観察しました。

チカラシバ(イネ科)の小穂
チカラシバの小穂
チカラシバの小穂を観察しました。小穂の柄の部分には、細かい逆さトゲが多数あり、総苞毛(総苞片が変化した長い剛毛)にも微細なトゲがあり、付着散布の仕掛けが観察できました。

チカラシバの小穂-2
ためしにチカラシバの花序にセーターを触れてみました。小穂はセーターにひっつき、後もどりすることなく縫い目に潜りこみ、外れなくなりました。本当に「ひっつきむし」になってしまいました。

オオバコ(オオバコ科)の果実
オオバコの種子
今度はオオバコの果実を観察しました。オオバコの果実は熟すと中央部で横に割れる蓋果で、上半部は円錐状でややとがり、この部分が踏まれたり刺激を受けたりすると蓋のように外れ、中から6~8個の種子がこぼれます。

オオバコの種子-2
種子の付着散布の仕組みは、種子が多糖類のコートをまとい、濡れるとゼリー状に膨潤して、靴やタイヤにくっつき、あちこちに運ばれていきます。本当にそうなるのか種子を水で濡らしてみました。やはりゼリー状の物質で種子が覆われてくっつき、はがれないことがわかりました。

センニンソウ(キンポウゲ科)の果実
センニンソウの果実
センニンソウの種子は風散布です。くるくる渦巻く羽飾りを頭に戴いた果実はそう果で、ふわりと風に乗って散布されます。この羽毛状の毛は、雌しべの花柱に由来したもので、そう果が熟して乾くと空気を含んでふわふわになります。

オオバノキハダ(ミカン科)の果実
オオバノキハダの果実
オオバノキハダの果実は1㎝ほどの球形の核果で、熟すと黒色になります。ミカン科特有の強い芳香があり、ヒヨドリ、ツグミ、イカル、アカハラなどの野鳥により被食散布されます。鳥類の被食は、発芽または種子の後熟を抑制する果肉を取り除き,発芽しやすくする働きがあると言われています。

ノブドウ(ブドウ科)の果実
ノブドウの果実-1
ノブドウの種子も被食散布されます。しかし色とりどりの果実は、どれが熟しているのかわかりづらいので調べてみることにしました。ある文献では、「果肉や種子の状態から、濃い青や紫の果実は未熟で白い実が熟果であるようだ。」とも記載されていました。

ノブドウの果実
ノブドウの果実には、ノブドウミタマバエが寄生して、虫えいを形成するため、大きく膨らんだ果実のような虫えいが見られます。しかし、この株ではそのような果実がほとんどありませんでした。念のために、白い果実を確認してみると、やはり果実も種子も正常に成長しているようでした。時期が関係しているのでしょうか。

テントウムシ(テントウムシ科)の蛹
テントウムシの蛹
カマツカの果実の観察中に、葉の上で休息するナナホシテントウと思われる蛹を複数個見つけました。ナナホシテントウであれば年2化性であるため、これらの蛹は第二世代の成虫となり、寒い冬を休眠せずに越冬するはずです。

エゴシギゾウムシ(ゾウムシ科)の脱出孔
種子食昆虫エゴヒゲナガゾウムシ(ウシヅラヒゲナガゾウムシ)の脱出孔
エゴノキの果実の観察中に、直径1㎜位の孔が空いた種子を見つけました。孔が空いた種子の中を調べると、中にいた生物はすでに脱出していたので、この孔はエゴシギゾウムシの脱出孔であると判断しました。エゴシギゾウムシの成虫は、エゴの種子に産卵し、幼虫はその中身を食べて成長します。

トップ10
1.オオバコ(果実)
2.オオバノキハダ(果実)
3.カマツカ(果実)
4.センニンソウ(果実)
5.チカラシバ(小穂)
6.ノブドウ(果実)
7.カケス(野鳥)
8.テントウムシ(蛹)
9.エゴシギゾウムシの脱出孔
10.アオダイショウの脱皮殻

箱根PV 小川(治)・谷上



ミニ観察会(ビジターセンター周辺) 2018年10月12日

夏の暑さも終わり、季節はいつの間にか秋です。薄曇りで気温17℃とやや寒い箱根です。ビジターさん11名(内初めて参加の方5名)に参加いただき、パークボランティア13名、合計24名のミニ観察会を開催しました。
本日のテーマは「ビジターセンター付近で見られる秋の野菊」です。

一般的に「野菊」というと、キク科のキク属やシオン属の花のことを指します。箱根には10種類ほどの野菊が咲いています。
今日はビジターセンター周辺でよく見かける5種類の野菊を中心に観察しました。

子どもの広場のススキの中に、終わりかけのシラヤマギクがひっそりと残っていました。シラヤマギクは、花びら(舌状花)がまばらで、上にかたまって咲きます。下の葉には翼がある長柄があって、スペード型であることが特徴です。
シラヤマギク VC181012
シラヤマギク キク科 シオン属

高原ホテルへ向かう右側の山林部でシロヨメナの花畑が見られます。
シロヨメナは、箱根ではノコンギクに次いでよく見られる野菊です。
日陰に咲く花です。舌状花は11個以下白色ですが、花の形は株によって様々です。葉は3脈が目立ちます。
シロヨメナ9
シロヨメナ キク科 シオン属

ノコンギクは箱根で最もよく見られる野菊です。この季節ビジターセンター周辺のいろいろな所で見ることができます。
「野」に咲く「紺」という「菊」で、淡い紫色の花を咲かせるものが多いですが、白い色もあります。多数の頭花が茎の上部に同じ高さに集まって咲きます。
ノコンギク VC181012
ノコンギク キク科 シオン属

ユウガギクは夏の初めから9月頃まで咲きます。花の広場にまだユウガギクが残っていました。
「柚(ゆず)の香の菊」と呼ばれますが、実際はほとんど香りがしません。
下部の葉は鳥の羽のように切れ込むのが特徴です。花をつける枝は横に広がって出ます。
ユウガギク VC181012
ユウガギク キク科 シオン属

リュウノウギクは一番遅く咲き始める晩秋の野菊です。白い花が霜にあたり、だんだんと紅みを帯びてきます。
リュウノウギクの名は、茎や葉の香りが、中国から伝わった竜脳(リュウノウジュから採れる精油)という香料に似ていることに由来します。
実際には、葉を揉むと樟脳に近い香りがし、成分としても樟脳が多いとのことです。
リュウノウギク VC181012
リュウノウギク キク科 キク属

センブリが咲き始めました。2cmほどの小さな花ですが、上品で高貴さが感じられる花です。
二年草なので、発芽した年は成長が遅く小さな草のまま冬を越します。2年目の秋になってようやく花茎を伸ばし花が咲きます。
センブリ VC181012
センブリ リンドウ科 センブリ属

トラマルハナバチがタイアザミの蜜を吸いに来ていました。
花から花へと飛びわたりながら蜜を集めます。非常に毛深いため花粉が付きやすく花粉の媒介に役立っています。
トラマルハナバチVC1810121
トラマルハナバチ ミツバチ科

アキノキリンソウに大きな果実のようなものがついて目立ちます。
これはアキノキリンソウミフクレフシという虫えい(虫こぶ)です。
この虫えいは、アキノキリンソウミタマバエによって、果実に形成される、球形の虫えいです。
内部には複数個の虫室があり、それぞれに1匹の黄色い幼虫が入っています。
アキノキリンソウミフクレフシ VC181012
アキノキリンソウミフクレフシ 虫えい

ビジターセンターの入り口近くの庭にあるガマズミの実が、今年は素晴らしいです!今見頃ですので、ぜひ一度見てください。
ガマズミ2 VC181012

本日のトップ10
1.  シラヤマギク  花
2.  シロヨメナ  花
3.  ノコンギク  花
4.  ユウガギク  花
5.  リュウノウギク  花
6.  センブリ  花
7.  リンドウ  花
8.  モズ  野鳥
9.  アキノキリンソウミフクレフシ  虫えい
10. トラマルハナバチ  昆虫

箱根PV 高橋

ミニ観察会(ビジターセンター周辺)2018年9月28日

秋晴れで観察会日和、ビジター8名、パークボランティア13名でミニ観察会をスタートしました。観察テーマは、「秋の木の実の観察」です。種子あるいは果実には、広く散布するために様々な構造や仕組みがありますが、今回は主に動物に食べられて散布される種子を持つ果実を観察しました。

ミツバアケビ(アケビ科)
ミツバアケビの紫色の果実
秋に熟し始めた果実は、紫色の果皮が縦に裂けて果肉が見えてきます。種子は甘い滑らかな果肉に包まれており、果肉は動物たちのご馳走になり、種子はその動物たちに途中まで運んでもらいます。

ミツバアケビの種子
ミツバアケビの種子(エライオソーム)
途中まで運ばれた種子は、その後にどのようになるのか、果肉を取り除いた種子を観察しました。黒い種子の右上側の白い部分がエライオソームといい、アリの幼虫の餌になるためアリが運んでいきます。残った種子は巣の周辺に捨てられそこから発芽します。

クサギ(クマツヅラ科)
クサギの花と果実
秋になると厚みがある萼が赤い星形に開き、濃藍色の果実がブローチのように輝くようになります。クサギは赤と藍の二色効果で野鳥の目を引いて、種子を運んでもらいます。

エゴノキ(エゴノキ科)
エゴノキの果実
秋になると果皮は乾いてすっぽり脱げ、硬い種子がむき出しになりヤマガラを誘います。ヤマガラは種子を食べる一方、運んで土に埋めて蓄えますが、食べ残した種子が発芽します。

エゴノキの果実の効果
エゴサポニンの実験
若い果実の果皮はエゴサポニンを含むので、昔の農山村では石鹸の代用としたそうです。石鹸のように泡立つのか試してみました。小瓶に水と傷をつけた果実を3つ入れ振り混ぜると! 本当に泡立ちました。エゴサポニンには界面活性作用があることがわかりました。

サルナシ(マタタビ科)
サルナシ
果実は、哺乳類の発達した嗅覚を刺激する芳香を持ち、果実摂食による種子散布を狙っています。果実はキウイに似て美味ですが、果肉中のタンパク質分解酵素が食べる量を制限させ、種子の分散に役立っているそうです。

ミズキ(ミズキ科)
ミズキの果実
ミズキは、赤い珊瑚のような目立つ枝と黒く熟した果実で多くの野鳥たちを誘います。幹から階段状に出て水平に広がる枝の先に上向きにつく無数の果実は、野鳥たちには、きっとご馳走がならんだテーブルのように見えるのでしょう。

アキアカネ(トンボ科)
シオカラトンボ(雌)
ミズキの果実の観察が終わり一息つくと、ミズキの枝にまだ赤く色づかない未成熟のアキアカネの雌がやってきました。久しぶりの晴天の秋空の中で昆虫たちに出会うと、なんとはなくホットした気分になります。

キンケハラナガツチバチ(ツチバチ科)
キンケハラナガツチバチ
全身に黄色い毛が生えて、腹部が長いツチバチなのでキンケハラナガツチバチといいます。タイアザミに雄の姿を見つけました。口吻が短いのか頭状花序に頭部を押し付け、懸命に食事をしている姿が面白く、時間が経つのを忘れそうでした。

コアカソミトゲフシ(虫えい)
コアカソミトゲフシ
アカソの仲間にタマバエが形成した虫えいを見つけました。この虫えいは9月上旬には成熟し、虫えい内にはタマバエの3齢幼虫が存在します。これから虫えいは茎から離れ、地面に落下をして冬を迎えます。

トップ10
1.エゴノキ(果実)
2.クサギ(果実/花)
3.ミズキ(果実)
4.ミツバアケビ(果実)
5.ヤマボウシ(果実)
6.キントキヒゴタイ(花)
7.ホトトギス(花)
8.カケス(野鳥)
9.アキアカネ(昆虫)
10.コアカソミトゲフシ(虫えい)

箱根PV 小川(治)


ミニ観察会(ビジターセンター周辺)2018年9月14日

秋雨前線が停滞して朝から雨模様、熱心なビジター3名とパークボランティア11名で観察会をスタートしました。今日のコースは、花の広場から芦ノ湖キャンプ場、白百合台園地を経由してビジターセンターに戻る長い道のりでしたが、カッパに傘で雨を防御して自然観察を堪能しました。

シキミ(マツブサ科シキミ属)
P9140222シキミ
雨の中でシキミの果実が輝いていました。葉身には油点があり、傷つけると抹香の香りがします。天気の良い日に試してみてください。

ツユクサ (ツユクサ科ツユクサ属)
P9140220ツユクサ
雨に映える青色の花弁をもつツユクサの中で、ピンクの花弁をもつツユクサもひっそりと咲いていました。皆さんも探してみてください。

タムラソウ(キク科タムラソウ属)とホシホウジャク(スズメガ科)
P9140256タムラソウとホシホウジャク
雨にも関わらずホシホウジャクがタムラソウの蜜を求めてやってきました。ホーバリングして器用に吸蜜しています。タムラソウに届く細長い口吻が見えるでしょうか。

キンモンガ (アゲハモドキガ科)
P9140274キンモンガ
雨の降る中、オオバコの葉上でキンモンガが休息していました。木陰などに身を隠せば良いのにと心配しながら、そっと観察しました。

ジガバチ(アナバチ科)
IMG_6886ミカドジガバチ
こちらの広場では、雨の中、顎で体を固定して昼寝をするジガバチの姿が見られました。雨を気にするのは人間だけなのでしょうか。

ツリフネソウ(ツリフネソウ科ツリフネソウ属)
P9140308ツリフネソウ
ツリフネソウが群生していましたが、ここではハナバチの仲間を見ることができませんでした。雨がやまないのでハナバチの仲間は、どこかで休息しているのでしょうか。

ツリフネソウハオレタマゴフシ (虫えい)
P9140309ツリフネソウハオレタマゴフシ
ツリフネソウの葉には、ツリフネソウコブアブラムシが桃赤色のきれいな虫えいを形成し、この中でアブラムシが成長していきます。この虫えいは、例年9月いっぱい見ることができます。

ツルニンジン(キキョウ科ツルニンジン属)
P9140281ツルニンジン
長いコースを散策していると思わぬところでツルニンジンを見つけることができます。花は側枝の先に下向きにつきますが、白緑色で内側に紫褐色の斑点があるのが判るでしょうか。

スズメウリ(ウリ科スズメウリ属)
P9140292スズメウリ
名称は、カラスウリに対して果実が小さいのでスズメウリという説や、果実をスズメの卵にみたててスズメウリなどの諸説があります。本当に可愛い果実ですね。

ホトトギス(ユリ科ホトトギス属)
P9140338ホトギス
コースの終盤にホトトギスの花が疲れを癒してくれました。最後まで雨が降り続けましたが、雨の日特有の自然が観察でき、有意義な時間を過ごすことができました。

トップ10
1.シキミ(果実)
2.スズメウリ(果実)
3.タムラソウ(花)
4.ツユクサ(花)
5.ツリフネソウ(花)
6.ツルニンジン(花・蕾)
7.ホットギス(花)
8.キンモンガ(昆虫)
9.オナガグモ(クモ)
10.ハクセキレイ(野鳥)

PV 小川(治)

FC2Ad