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箱根の四季

箱根パークボランティアによる箱根の最新自然情報をお届けします

ミニ観察会(ビジターセンター周辺)2019年1月11日

2019年初回のミニ観察会。今日のテーマは、芦ノ湖へ飛来するガン・カモ類の実態把握である。温暖化の影響か気温3℃。風も弱く陽射しが暖かい。ビジター9名・パークボランティア14名にVC職員1名が加わり、桃源台から芦ノ湖キャンプ場、そして湖尻水門までの湖岸を巡りガン・カモ類の状態を観察する。

湖岸からの観察風景
観察風景
芦ノ湖で観察できるガン・カモ類のなかでもマガモ、コガモ、カルガモなどの水面採餌性のカモの減少が著しいとの調査例もあり、本日の状況が気になるところである。

ヒドリガモ(カモ目カモ科)
ヒドリガモ
海岸、内湾、湖沼、河川などに冬鳥として飛来して、水辺近くの草地でよく青草を食べる。水面に浮かぶ植物を水面採餌する。この日に観察できた水面採餌性のカモは、唯一ヒドリガモ(雄1羽・雌3羽)だけで、昨年度の観察会と比較するとあまりの少なさに一抹の寂しさを感じた。

キンクロハジロ(カモ目カモ科)
キンクロハジロ-1
内湾、港、湖沼、池、河川などに冬鳥として飛来して、日中は休息し、夜間に行動することが多い。貝やカニ、水草などを潜水採餌する。この日は、潜水採餌性のカモの数も少なく、キンクロハジロは2羽確認できたが、休息している様子はなく、沖に向かってまっしぐらに泳いで行った。

ホシハジロ(カモ目カモ科)
ホシハジロ
内湾、港、湖沼、池、河川などに冬鳥として飛来して、群れで行動することが多く淡水域にもよく入る。動物質、植物質のどちらもよく食べる。貝やカニ、水草などを潜水採餌する。双眼鏡で湖を見渡して、やっと2羽が確認できた。昨年度の観察では、キンクロハジロと混群となって水面で休息する姿も見られたが、潜水採餌性のカモの減少も気になるところである。

カイツブリ(カイツブリ目カイツブリ科)
カイツブリ
湖沼や流れの緩い河川にすみ、北日本では冬に暖地へ移動する。魚類や水生昆虫などを潜水採餌する。1羽のカイツブリが、湖岸からやっと目視で確認できる距離で、愛嬌のある姿を波に漂わせていた。人の話声や足音で気配を感じたのか、沖に向かって逃げて行った。

カンムリカイツブリ(カイツブリ目カイツブリ科)
カンムリカイツブリ-1
一部を除き、広い湖沼や河口、湾などに冬鳥として飛来する。魚類や水生昆虫、両生類、水草なども潜水採餌する。1羽のカンムリカイツブリを湖岸から双眼鏡で判別できる距離で見つけることができた。食事の最中だったのか頻繁に潜水を繰り返していたが、やはり沖に向かって去っていった。

オオバン(ツル目クイナ科)
オオバン
湖沼や湿原、水田などに生息してよく泳ぐ。水草や根、昆虫類の幼虫などを潜水採餌する。昭和60年に発行された「箱根の鳥」では、殆んど稀にしか見られなかったと記されているが、本日の観察では一番に数多く、湖面を見渡すと10羽程度が観察できた。

オオバンと遊覧船
オオバンと遊覧船-1
人間の気配で湖岸から沖へと去っていく水鳥の中で、唯一、湖岸近くで泳ぐ3羽オオバンの姿に愛着を感じながら湖面を見渡すと、はるか沖に2隻の遊覧船が湖面を進んでくる。人間の気配で沖に去って行った水鳥たちは、今度はどこに向かって逃げていくのか。芦ノ湖へ飛来するガン・カモ類の実態と大きな課題を知ることができたような気がする観察会であった。

ミサゴ(タカ目ミサゴ科)
ミサゴ
芦ノ湖でのガン・カモ類の観察状況は上記のとおりであったが、上空では、芦ノ湖の魚影をさがしてミサゴが旋回していた。このミサゴは、海岸や大きな湖沼、河川にすみ、急降下して魚を足でつかむという。わずかな時間であったが参加者全員が、ミサゴの飛翔に釘付けになり、真っ青な空を仰いでいた。

トップ10
1.ヒドリガモ(水辺の野鳥)
2.キンクロハジロ(水辺の野鳥)
3.ホシハジロ(水辺の野鳥)
4.カンムリカイツブリ(水辺の野鳥)
5.ミサゴ(水辺の野鳥)
6.エナガ(山野の野鳥)
7.シメ(山野の野鳥)
8.アオキ(果実)
9.ガマズミ(果実)
10.ウスタビガの繭(昆虫)

箱根PV 小川(治)・谷上
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ミニ観察会(ビジターセンター周辺) 2018年12月14日

紅葉も終わり木々の葉がすっかり落ちた冬の箱根です。静寂でゆっくり自然を楽しめるこの季節も好きです。ビジターさん9名(内初めて参加の方3名)、パークボランティア14名、合計23名のミニ観察会です。
本日のテーマは「木の形(樹形)」です。この季節は葉っぱが落ちて木の形がよく見えます。今日は木の形を見比べながら樹木を中心に観察しました。

イロハモミジ (カエデ科)
ビジターセンター駐車場のイロハモミジです。小枝が多いです。ここは日当たりが良いので樹形はドーム形になっています。森の中では横広がりの傘型になっていることが多いです。
イロハモミジ VC191214

ミズキ (ミズキ科)
ミズキは枝が水平に出ます。お日様に当たりたい木なので、枝は重ならないように360度の方向に出ます。枝には鳥が止まりやすく、実も上に向かって立ちます。
ミズキ VC181214

カツラ (カツラ科)
カツラは幹がまっすぐのび、枝の角度が鋭角で、整った円錐形になります。寒いところの樹木はまっすぐ縦に伸びることが多く、ポプラ、白樺も同じような樹形です。
カツラ VC181214

ネムノキ (マメ科)
ネムノキは枝を横に張り出して、いっぱい日に当たろうとします。葉がつくとドーム形の樹形になります。
ネムノキ VC181214

アセビ (ツツジ科)
アセビはこんもりとしています。葉は枝先に集まります。もう来年の紅い蕾がついています。
アセビ VC181214

リョウブ (リョウブ科)
リョウブが株立ちになっています。樹皮がまだらに剥がれるのが特徴です。剥がれた樹皮が地面に落ちていました。
リョウブ1 VC181214

リョウブ2 VC181214

オオハナワラビ (ハナヤスリ科)
オオハナワラビがあちらこちらで観察できました。葉は全体が五角形の形で、葉には鋸歯があり鋭く尖ります。
オオハナワラビ VC181214

フユノハナワラビ (ハナヤスリ科)
フユノハナワラビは鋸歯がオオハナワラビよりも粗いのが特徴です。
フユノハナワラビ VC181214

同じ落葉樹でもいろいろな形があります。また常緑樹の形も木によっていろいろです。いつもの植物観察とは違い、いろいろな樹形を学んだ観察会でした。

本日のトップ10
1.  ケヤキ  樹木
2.  ヒノキ  樹木
3.  ネムノキ  樹木
4.  カツラ  樹木
5.  アセビ  樹木
6.  ヤブツバキ  樹木
7.  オオハナワラビ  シダ類
8.  トラツグミ  野鳥
9.  ツグミ  野鳥
10.  アカハラ  野鳥 

箱根PV  高橋

ミニ観察会(ビジターセンター周辺) 2018年11月23日

秋も終わりに近づき、やや寒いですが、晴れて気持ちのいい箱根です。ビジターさん12名に参加いただき、パークボランティア5名、合計17名のミニ観察会を開催しました。

本日のテーマは「ニシキギ科の植物」です。
ニシキギ科の植物は、花は黄緑色で小さく目立たないですが、果実は熟すと裂開し、赤い仮種皮に包まれた種子が顔を出すものが多いです。

ニシキギ (ニシキギ科)
葉は落ちていましたが、秋の美しい紅葉を錦に例えたのが名前の由来です。果実の上のベレー帽のような果皮が2つに裂けて種子が出て来ます。朱赤の仮種皮に包まれた中には小さな白い種があります。
ニシキギ VC181123

マユミ (ニシキギ科)
今年の箱根は、マユミの果実が豊富です。マユミの果実は淡紅色で4裂します。
マユミ VC181123

ツルウメモドキ (ニシキギ科)
黄色い果皮が3つに裂けて反り返り、橙赤色の仮種皮に包まれた種子が顔を出します。黄色と朱赤の対比が美しく、実が付いた枝は生け花やリースに用いられます。
ツルウメモドキ2 VC181123

ツルマサキ (ニシキギ科)
常緑つる植物のツルマサキもニシキギ科です。果実はよく似ています。枝の各所から気根を出して絡みつき樹上によじ登ります。鳥はこの実も大好きです。
ツルマサキ VC181123

ムラサキシキブ (クマツヅラ科)
名前のように紫色の実が美しいです。葉が落ちていっそう実が輝いて見えます。小粒な実は小さな鳥の口にもたやすく入ります。
ムラサキシキブ VC181123

コアジサイ (ユキノシタ科)
初夏に白い花を付けていたコアジサイが、今はひっそりと黄葉となり、とても美しいです。
コアジサイ VC181123

オオモミジ (カエデ科)
ビジターセンター周辺の園地では、今いたる所でオオモミジの紅葉・黄葉が盛りです。この秋最後の紅葉を楽しんでください。
オオモミジ1 VC181123

オオモミジ2 VC181123

メジロの巣
自然学習路でメジロの巣を見つけました。枝の二又に作ります。もう子育ては終わっているので空の巣です。
メジロの巣 VC181123

本日のトップ10
1.  ムラサキシキブ  果実
2.  ツルウメモドキ  果実
3.  マユミ  果実
4.  ツルリンドウ  果実
5.  ニシキギ  果実
6.  ツルマサキ  果実
7.  サルトリイバラ  果実
8.  スイカズラ  果実
9.  コアジサイ  黄葉
10. オオモミジ  紅葉・黄葉

箱根PV 高橋

ミニ観察会(ビジターセンター周辺) 2018年11月9日

薄曇りで温度14℃、比較的暖かい秋の箱根でした。ビジターさん4名、パークボランティア7名、合計11名のミニ観察会です。
本日のテーマは「巣(網)を見ればクモの種類が分かる」、初めてのクモが主役の観察会です。

クモの「巣」と言いますが、餌を捕獲する「虫取り網」なので、正確には「網」です。クモそれぞれによって網の張り方が違います。

最初にヤエンオニグモが網を作っている途中の観察です。スプレーをかけて網を見えやすくしています。
IMG_1910.jpg

写真では網は見えませんが、ヤエンオニグモがすぐそばの葉の陰に隠れていました。これは枯葉ではなくクモです。
ヤエンオニグモ3

オオヒメグモです。歩いている虫を網で釣り上げ、牙で消化液を注入して、中の組織をドロドロにしそれを吸って食べます。
食べられた虫は殻だけが残ります。ダンゴムシも餌食になるようです。ちょっと怖い生存競争です。
オオヒメグモ

ヤマシロオニグモの網です。
最初にネバネバしない足場を作り、その後にネバネバした網を張ります。その時の作業に合わせてお尻から吐き出す糸を使い分けます。何とも高等な技を使うものです。
PA310038コヤマシロオニグモの網

ギンメッキゴミグモです。普通のクモは頭を下向きにしていて、餌を捕まえたら重力でサッと下へ降りて捕獲しますが、ギンメッキゴミグモは頭が上を向いています。頭が上のクモはこれだけです。
PA300010ギンメッキゴミグモ

ジョロウグモの網です。写真ではわかりにくいですが、網は円ではなく上に切れ目のある馬蹄型です。さらに前後に三重構造に張られています。
DSCN1341ジョウロウグモ網

ビジター周辺のカエデ類は紅葉が一気に進んでいます。駐車場側のイロハモミジも紅葉が始まっています。
イロハモミジ

同じ日の夕方に撮影したものですが、朝は緑色だったイロハモミジが夕日に照らされて、まるで紅葉が一気に進んだように見えていました。自然の不思議と素晴らしさを感じます。
イロハモミジ夕方

こちらは花の広場のオオモミジの紅葉です。
オオモミジ

同じく花の広場では、とても美しいケヤキの黄葉が見られます。
ケヤキ

マツムシソウは、ほとんどが果実になっていましたが、花もまだ残っていました。
マツムシソウ

本日のトップ10
1.  ギンメッキゴミグモ
2.  オオヒメグモ
3.  ゴミグモ
4.  ジョロウグモ
5.  ムラサキシキブ  果実
6.  アオツヅラフジ  果実
7.  マツムシソウ  花、果実
8.  ガマズミ  果実
9.  ウリハダカエデ  紅葉
10. イロハモミジ  紅葉

箱根PV 高橋

ミニ観察会(ビジターセンター周辺)2018年10月26日

気温13℃薄曇りで少々肌寒い中、ビジター11名、パークボランティア13名でミニ観察会をスタートしました。観察テーマは、昨年12月に実施した「タネの不思議Ⅰ」の続編「タネの不思議Ⅱ」です。今日は動物や人にくっつき、ヒッチハイクする「ひっつきむし」といわれる付着散布の種子や花の広場で見られる植物の果実や種子の不思議さを観察しました。

チカラシバ(イネ科)の小穂
チカラシバの小穂
チカラシバの小穂を観察しました。小穂の柄の部分には、細かい逆さトゲが多数あり、総苞毛(総苞片が変化した長い剛毛)にも微細なトゲがあり、付着散布の仕掛けが観察できました。

チカラシバの小穂-2
ためしにチカラシバの花序にセーターを触れてみました。小穂はセーターにひっつき、後もどりすることなく縫い目に潜りこみ、外れなくなりました。本当に「ひっつきむし」になってしまいました。

オオバコ(オオバコ科)の果実
オオバコの種子
今度はオオバコの果実を観察しました。オオバコの果実は熟すと中央部で横に割れる蓋果で、上半部は円錐状でややとがり、この部分が踏まれたり刺激を受けたりすると蓋のように外れ、中から6~8個の種子がこぼれます。

オオバコの種子-2
種子の付着散布の仕組みは、種子が多糖類のコートをまとい、濡れるとゼリー状に膨潤して、靴やタイヤにくっつき、あちこちに運ばれていきます。本当にそうなるのか種子を水で濡らしてみました。やはりゼリー状の物質で種子が覆われてくっつき、はがれないことがわかりました。

センニンソウ(キンポウゲ科)の果実
センニンソウの果実
センニンソウの種子は風散布です。くるくる渦巻く羽飾りを頭に戴いた果実はそう果で、ふわりと風に乗って散布されます。この羽毛状の毛は、雌しべの花柱に由来したもので、そう果が熟して乾くと空気を含んでふわふわになります。

オオバノキハダ(ミカン科)の果実
オオバノキハダの果実
オオバノキハダの果実は1㎝ほどの球形の核果で、熟すと黒色になります。ミカン科特有の強い芳香があり、ヒヨドリ、ツグミ、イカル、アカハラなどの野鳥により被食散布されます。鳥類の被食は、発芽または種子の後熟を抑制する果肉を取り除き,発芽しやすくする働きがあると言われています。

ノブドウ(ブドウ科)の果実
ノブドウの果実-1
ノブドウの種子も被食散布されます。しかし色とりどりの果実は、どれが熟しているのかわかりづらいので調べてみることにしました。ある文献では、「果肉や種子の状態から、濃い青や紫の果実は未熟で白い実が熟果であるようだ。」とも記載されていました。

ノブドウの果実
ノブドウの果実には、ノブドウミタマバエが寄生して、虫えいを形成するため、大きく膨らんだ果実のような虫えいが見られます。しかし、この株ではそのような果実がほとんどありませんでした。念のために、白い果実を確認してみると、やはり果実も種子も正常に成長しているようでした。時期が関係しているのでしょうか。

テントウムシ(テントウムシ科)の蛹
テントウムシの蛹
カマツカの果実の観察中に、葉の上で休息するナナホシテントウと思われる蛹を複数個見つけました。ナナホシテントウであれば年2化性であるため、これらの蛹は第二世代の成虫となり、寒い冬を休眠せずに越冬するはずです。

エゴシギゾウムシ(ゾウムシ科)の脱出孔
種子食昆虫エゴヒゲナガゾウムシ(ウシヅラヒゲナガゾウムシ)の脱出孔
エゴノキの果実の観察中に、直径1㎜位の孔が空いた種子を見つけました。孔が空いた種子の中を調べると、中にいた生物はすでに脱出していたので、この孔はエゴシギゾウムシの脱出孔であると判断しました。エゴシギゾウムシの成虫は、エゴの種子に産卵し、幼虫はその中身を食べて成長します。

トップ10
1.オオバコ(果実)
2.オオバノキハダ(果実)
3.カマツカ(果実)
4.センニンソウ(果実)
5.チカラシバ(小穂)
6.ノブドウ(果実)
7.カケス(野鳥)
8.テントウムシ(蛹)
9.エゴシギゾウムシの脱出孔
10.アオダイショウの脱皮殻

箱根PV 小川(治)・谷上



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